文を書いていて、文の最後を「ネ」で締めると、オッさん感が出る。オッさん感じの由来がどこから来るのかは、よく判らない。私の場合は、父親からのメールで、「ネ」を締めに使っているのを見て、学習したと思っている。
他のオッさん、つまり私の父親以外の人が、文の最後を「ネ」にしているか、についてはよく判らない。調査をしたこともないし、そこまでの労力をかけて知ろうとするほどの問題ではないと思っている。
文の最後を「ネ」で締める例として、坂口安吾の「不良少年とキリスト」が挙げられる。これは坂口安吾が、太宰治が自死した後に書いたエッセイである。青空文庫でかなりの数の坂口安吾作品を読むことができるので、読んでみると良いと思っている。
坂口安吾 不良少年とキリスト
晩年のものでは、――どうも、いけない。彼は「晩年」という小説を書いてるもんで、こんぐらかって、いけないよ。その死に近きころの作品に於ては(舌がまわらんネ)「斜陽」が最もすぐれている。
※太字は筆者による。
青空文庫の記載によれば、「不良少年とキリスト」の初出は1948年7月1日である。ウィキペディアによれば、坂口安吾は1906年10月20日誕生とのことである。
坂口安吾 - Wikipedia
誕生 坂口 炳五(さかぐち へいご)1906年10月20日
以上より、坂口安吾が「不良少年とキリスト」を書いていたのは41歳との計算になる。つまり、オッさんである。少なくとも1948年には、文の最後を「ネ」で締めるオッさんが存在していたということである。
今のところ私が知っている、文の最後を「ネ」で締めるオッさんの最古の例である。文の最後を「ネ」で締める書き方が、戦前や戦中にもあったのか、が気になるところである。