いかたけの備忘録

忘れっぽい

観た「ヒトラーのための虐殺会議」

ネタバレがあります。ん?この映画に対してのネタバレって何だろう。なんせヴァンゼー会議の内容は周知されてるし、議事録を元にした映画なので…まあ良いか。

印象に残った言葉
  1. 「運命が私たちに与えた」「私も平和的にやりたいが運命が」
  2. 「歴史的に観れば今処置しておかないと」「将来の世代のために」
  3. 「やられたからやり返しているだけ」「正当な防衛」
  4. 「国家元帥が与えた任務」「総統の発言を」
  5. 「私の管轄」「これ以上の負担は」「優先順位を」「あなたの仕事を増やしたりはしません」
蛇足

1. 2. あたりからは使命感、3.からは被害者意識・復讐心、4.は偉いボスの言ってることを自分こそが達成しようとしているという見栄あるいは蹴落とされないようにしている防衛反応、5.はよくあるセクショナリズムだったりするのかな。

映画の感想

会議の前後のシーンが好きで、会議が終わった後に車に乗る官僚を見送るシーンで「4時から別の会議だ、郵政省の再編について」「タフですね」といった何気ない会話が良い。後はラインハルトとアイヒマンが書記の人の職場環境*1を心配するシーンがあって良い。客観的には人類史上最悪のジェノサイド機関も、ある当事者とっては日々を過ごした職場だったりする。多分そういうのはどこにでもあって、大日本帝国の軍部だったり、ソ連KGBだったりアメリカのCIAだったり中国の共産党だったりしても務めてる人にとってはお茶飲んでダラダラ働いてるだけだったりするのかもしれない。

そういえばヴァンゼー会議は1942年1月20日で、劇中も、屋外のシーンは寒そうだった。空気の乾いてる感じというか、冷えた感じがあった。湖のそばだから、なおのこと寒そう。戦況としてはモスクワ攻略に失敗して、歴史の上では、以後のドイツには良いところが無くて、だいたいは負け続けで1945年のベルリンに繋がっていくけど、劇中では「まだまだこれからだ」といった雰囲気で悲壮感は全くなかった。

*1:書記の人も、アイヒマンやラインハルトと同じで、勤め先はSS:武装親衛隊なんですよね。SSというと字面からして暴力機関っぽいんですが、当然事務方もいる。途中、ラインハルトが「SSにも○○の専門家はたくさんいます。」と官僚に言ってるシーンもありましたね。SA(突撃隊)やSSが世界恐慌後のドイツの失業者の受け皿になってきた部分は確かにあったのかな、と思わせるシーンでした。