いかたけの備忘録

忘れっぽい

6月と7月に読んだ本

最短突破 データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)公式リファレンスブック 第3版、徹底攻略データサイエンティスト検定問題集[リテラシーレベル]対応 第2版、データサイエンス基礎 (データサイエンス講座 1)

データサイエンティスト検定リテラシーレベルを取ったので、そのために読んでいた。ちなみに、リテラシーレベル以外の試験は提供されていないっぽい。データサイエンティスト検定は略称がDS検定なので、これで私もDSということになる。

6月に読んだ本が上の3冊だけなので、まとめて7月に読んだ本も記録しておきます。

賃金の日本史 仕事と暮らしの一五〇〇年 (歴史文化ライブラリー)

www.yoshikawa-k.co.jp

いつの時代の賃金が増えてたり減ってたりするかという話だけでなく、そもそも賃金の比較というのは、どうやってやるのか、というところまで書いてある。今では当然のように貨幣が通用するけど、昔は層では無いので、どうやって一定の値に定めるのかというところ等が大変そうな感じでした。

科学の方法 (岩波新書)

1958年の本で科学の考え方について書かれています。測定誤差の話や、ジェット機の飛ぶ航路は予想できるが塵紙の落ちる先は予測できない話が面白いです。著者は寺田寅彦さんの弟子の方のようで、そういえば寺田寅彦さんの本をあんまり読んでなかったなと思い出しました。

目次は下記の通りです。

  1. 科学の限界
  2. 科学の本質
  3. 測定の精度
  4. 質量とエネルギー
  5. 解ける問題と解けない問題
  6. 物質の科学と生命の科学
  7. 科学と数学
  8. 定性的と定量
  9. 実験
  10. 理論
  11. 科学における人間的要素
  12. 結び
    附録 茶碗の曲線 
ベトナムの労働法と労働組合

www.akashi.co.jp

2007年の本で、卒論か修論かに加筆して出版されたとのこと。まずベトナムで起きているストが全て山猫スト*1であるという衝撃的な内容から始まり、労働組合の構成や、企業・政府機関・外資などの組織率、法律の逐条解説など細かく記載されています。ざっと捉えると社会主義国であった事もあり、会社単位および各組織や労組組織がうまく機能していないことで、生じる問題が様々発生しているという印象でした。18年経った今では改良されているのか気になるところです。ちなみに労働法のところでホー・チ・ミン主席が出した勅令という表現があり、社会主義国でも勅令が出せるのかと思いました。*2

中国医学はいかにつくられたか

www.iwanami.co.jp

中国の医学(中医、主に鍼灸)がどのように成立していったかを、「黄帝内経」「神農本草経」「傷寒論」といった図書を題材に書かれている事を彫っていくスタイルで書いていく本です。鍼療法が砭石療法から発展したといった内容や、中国医学は初期から祈祷や呪術を当てにしていないという内容、また、体の器官を官僚制に見立てる話は初めて知ったので面白いです。西洋の医学とは別に体系立てて病気や薬の事を考えていたことがうかがえます。

連合の五年と労働運動

天王寺古書市で100円で投げ売りされていた。連合ができて5年経ったときの評価を批判的な観点でまとめたもの。当時は平成不況の真っ只中で、時代の経過を感じる。

クリティカルチェーン TOC流プロジェクト・マネジメント

3~4月に読んだ本 - いかたけの備忘録

↑で読んでたザ・ゴールの続きの本。相変わらず小説として面白く読ませる作りになっています。提唱しているクリティカル・チェーンの理論も面白く、クリティカル・パスを代替する(あるいは、より上位にくる)考え方として良さそうが、実際のプロジェクト運営に行かそうと思うと難しいところがありそうに感じました。例えば、別々のプロジェクトでリソースを共有しており、プロジェクト管理者が別人だとリソースの融通に難儀するといった場合が考えられます。

もう1冊、『AI世界秩序 米中が支配する「雇用なき未来」』(李開復)も読みましたが、単独で読書感想文を書く予定です。

*1:組合執行部の承認を得ずに行うスト

*2:適切な日本語の単語が無いのかもしれない

3~4月に読んだ本

よつばと!16巻

なんかずっとこのスローな感じが出せるの凄い。

 

切手でつづる原子力

ndlsearch.ndl.go.jp

切手収集マニアの原子力エンジニアの人が、原子力関係の切手を集めて紹介している本。そういえばヨーロッパのどこかでは切手の発行をやめるとかいうニュースもあり、切手収集という文化や切手オタクみたいな人も今世紀中にはなくなってしまうのかもしれない。それはそれでちょっと味気ないですね。

 

脳は世界をどう見ているのか

www.hayakawa-online.co.jp

  • 人間の脳みそは軽く未来予想をしながら、違ったら修正したりを繰り返している。
  • 今の主流のAIはあんまり人間の脳みそに近くないので、人の知性に近いシンギュラリティをおこすのは、もうちょっとやり方変えないと無理では。

といった感じだった記憶がある。Kindleで合間合間に読んでいたので、間違っているかも。そうなると今後はロボとか無いと厳しそう。

 

ZONE シリコンバレー流 科学的に自分を変える方法

www.daiwashobo.co.jp

日本で合法的にできる「科学的に自分を変える方法」とやらがあまり無いので、読んでも明日から使えるようなものではない。

 

ザ・ゴール 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール 思考プロセス (2)

promo.diamond.jp

四半世紀前ぐらいに出てた本で、アメリカの製造業がメタメタになってしまったことに危惧を感じた著者が生産管理ソフトウェアを作って、アメリカの製造業を救おうとしたものの、あまり売れず、販促ツールとして小説を書いたら、小説の方は売れて、考え方は浸透したけど生産管理ソフトウェアの方はあんまり売れなかった。みたいないきさつがある。あと、アメリカの製造業がメタメタになったのは日本との貿易摩擦が原因だということもあり、10年ぐらい邦訳をお断りしていたらしい。

街の産業の中心であった製造業が倒産してしまってビルが売りに出されているといった風景の描写が「ヒルビリー・エレジー」を連想する。

小説としては結構スラスラ読ませる書き味で(特に1巻のボーイスカウトのピクニックの下りが好きです。)、1日で読めてしまう。

2月に読んだ本

www.chuko.co.jp

中国では昔から現代に至るまで『「士」と「庶」の二元構造』があるというのをテーマにした本。他にあまりない観点なので面白い。

www.akashi.co.jp

書かれているトピックが、政治的、社会的な項目が多く、論調がややネガティブに寄っているので、「こんなに矛盾や弱点だらけなのに、存続できている理由」とか「一般庶民の生活習慣」といった内容はあまり記載されていない。そういったことを書こうとすると、54章では足りないので300章ぐらい必要かもしれない。

www.tsogen.co.jp

友人から借りて読んだ。ミステリーの短編集みたいで、中核の登場人物は変わらずに、各話ごとにテーマ(謎のお題)が変わる構成。月1で会合を開く会に、ゲストの登場人物(定例メンバーの紹介による)が謎を持ち込んできて、なんやかんやして*1解決する。話自体も長くないので、通勤のお供におすすめ。

www.shunjusha.co.jp

出光作った人の本。時期としては前になる本「マルクスが日本に生まれていたら」は12月に読んでいた。

最近読んだ本(10~12月) - いかたけの備忘録

屋上屋ばっかり作っちゃ駄目とか、人間が中心で「○○の奴隷」にならないように、とか今でも役に立つことが書いてある。古本屋で見かけたら手に入れてみても良いかも。

*1:なんやかんやを説明するとネタバレになってしまう

1月に読んだ本

www.hanmoto.com

2022年にロシアがウクライナに全面侵攻してからのキーウ(キエフ)で生活してる人々の状況とかが書かれた本。筆者はウクライナの新聞社に務めている人。半分はQ&A方式になっており、日本人が気になる点に答えていくことで、キーウの人たちが置かれた状況が判りやすく書かれている。

bookplus.nikkei.com

4月に情報処理安全確保支援士を受験しようと思ってセキュリティの勉強で買った本。だけど結構読み物としても面白い。

www.shinchosha.co.jp

これも結構面白かった。アメリカの支援が凄い。マイクロソフトとか民間の会社も活躍している。

www.kawade.co.jp

古本屋で買った。書いてある内容が他の本で読んだようなことだったので、内容にあまり新鮮味はなかった。(上)の最後に「国際機関や非政府組織が発達して、国家はどんどん存在が消えていきますよ。」といったこと書いてあり、ちょうど読んだ日にドナルド・トランプが大統領に就任したので「ほんまかいな」と思いながら読み終わった。

www.chuko.co.jp

図書館で借りて読んだ。「中国は大きく弱い国、日本は小さく強い国」という自己認識から始まって、守って補給とか訓練するのが大事なときと、攻めて占領したりするのが大事なときがあるといったことが書いてある。書いてある内容はまともな気がする。

読書感想文「中国の技術創造」

読んだ本の記録を怠っており、ちょっとずつでも良いから書こうと思いました。

赤木昭夫、佐藤森彦「中国の技術創造」 - メルカリ

ブログに本のことを書くときは、なるべく版元ドットコムとか、出版社のサイトをリンクするようにするんですが、1975年の本なので、何もない。そういうわけで、なんとなく書影が判るようなページを載せたいと思います。

本の中身としては70年代前半までの中国の技術の進化を追ったものです。大体は中国国内で出された論文や新聞記事を基にしているようです。取り上げているトピックは大慶油田から、農地で塩害を防ぐ工夫、プログラミング、鍼治療など。

プログラミングでは、ALGOLを基にした中国語のプログラミング言語が開発されている話などが載っている。今調べたところ多分、以下の言語と思われます。

BCY语言 - 维基百科,自由的百科全书

他には各地で小さい炉を作って鉄やら肥料やらを作る話も載っているが、これは当時の物流網が貧弱だったことも原因がありそうだと思いました。

紹介されている内容について、半世紀後にどうなっているか検証すると面白いかもしれませんね。

1月ぐらいに読みました。

追記:昔の本はあんまり情報がなさそうなので、せっかくだから目次を載せておこうと思います。括弧書きの中は私の書いた簡略説明です。

  • 大慶油田(ご存知、中国の大油田を開発)
  • 防治塩碱(川から水を引く農業)
  • 一水多用(用水路と小型水力発電)
  • 土法制肥(土法:"土着の方法"ここでは、その土地で使う肥料を作る化学プラント)
  • 以小攻大:胸中有数(プログラムとサイバネティクス)
  • 綜合利用(農業資源の無駄のない利用)
  • 人的因素(鍼治療など中国医療と西洋医療の合作)

2024年の読書

数値面

2024年は59冊読んだそうです。最も読んだのは7~8月で7月9冊、8月11冊でした。これは夏休みで出かける際に移動時間で読んでいたため+ぼっち・ざ・ろっくの既刊を一気読みしたためです。

雑感

遠くに出かけた際に大きめの本屋に入って郷土誌を入手する。という活動を3カ所(北九州、金沢、横浜)で実施しました。金沢の本は積みっぱなしです。25年はあまり手をつけていなかった居住地(兵庫県)の郷土誌を読んでいこうと思います。

また、古書市に行く趣味ができたので、今後も継続して行こうと思います。とりあえず神戸・大阪・京都あたりを射程圏内にしてブラブラしようと思います。

古い本を入手するようになると、本棚のカオスっぷりが増幅するので面白い。2025年も新旧の本を織り交ぜて積んで(読んで)行こうと思います。

最近読んだ本(10~12月)

サイバースペース地政学

www.hayakawa-online.co.jp

文系のおっさんと理系のおっさんでサイバー戦(通信・電子領域の戦争)の舞台になりそうな場所を巡る。データセンターや海底ケーブルなど、普段はあまり意識しない通信・電子インフラの重要拠点をたどっていくといった内容で、堅さ半分・柔らかさ半分。

 

人材育成の教科書―悩みを抱えるすべての管理者のために

https://www.amazon.co.jp/dp/4845203146

退職金制度の教科書 制度の全体像をとらえ今後の設計・運用を考えるために

https://www.amazon.co.jp/dp/4845263416

昔読んだような気がするけれどもちょっと必要になったので読み直した。

 

平等についての小さな歴史

www.msz.co.jp

有名な人の本、資本主義が広まっていくにつれて格差が拡大して、ソ連や共産圏ができたあたりで是正されていくけど、ソ連崩壊にともなってまた格差が広がっている…。というのが、いろいろな国(フランスとかアメリカの例が多い)のグラフを出して提示してくれる。著者は別に共産主義大好きな人でもないので、最後の方では共産主義革命なしで格差を是正する(それもグローバルに)ための政治体制の案を示しているけど、めちゃくちゃ難易度が高そうに思う。

 

国際労働基準とILO

https://www.amazon.co.jp/dp/4385307954

1984年の本でILOができてからWW2を挟んでの1984年ごろの姿を書いている。労使を対等にしたりとか、児童労働や婦人労働を規制していくとか、割とやっていることの基本は今でも変わらないように思った。

 

相模湾 深海の八景 知られざる世界を探る

www.yurindo.co.jp

神奈川の記憶

www.yurindo.co.jp

横浜で用事があったときに寄り道して買った本。深海の八景は地学の本で、神奈川の記憶は歴史の本。相模湾やにスポットを当てて、土地の成り立ちや生物の豊富さを深掘りしたり、日本全国規模の歴史的できごと(明治維新終戦など)に対して神奈川県内に絞った動静をたどっていったりしてるのが面白い。

 

正伝 ホー・チ・ミン

www.kosho.or.jp

ホー・チ・ミン(ホーおじさん)が死んで1年後ぐらいに書かれた本。出生から世界中(アメリカとかフランスとか)を労働者として旅した経験、そこからソ連・中国経由でベトナムに帰ってきて独立を勝ち取って死去するまでの話が書かれている。当然ながら基本的に良い事しか書かれていないので、読むと元気になれる。ホー・チ・ミンとしては昔の日本に世話になっていないこともあり、昔の日本は独立の邪魔者として出てくるので、昔の日本が好きな人にはお勧めできないかも。

 

情報分析力

www.hanmoto.com

作業スペースは物理的に良くしろ。本は躊躇せず買え。アウトプットはパワポの絵でなく、ワードで文書を書け。といったことが記載されている。

 

www.php.co.jp

戦後の半世紀ぐらいのうちに、で孔子の扱いが文革期の「批林批孔」の批判される側から最近は「孔子平和賞」や「孔子学院」といったお手本とすべき人に180°変わってるのがすごい。原神やってないので、ゲームのセリフに漢詩が出てくるインパクトがイマイチわからなかった。

 

シン・中国人 激変する社会と悩める若者たち (ちくま新書 1710)

www.chikumashobo.co.jp

中国の若い人たちにスポットを当てた本。時代の変化スピードが日本とか欧米の3倍ぐらいとのこと。30年前は昔は清潔感とかほぼ無視だったが、今の若い人は洗濯機を2個持ってて、赤ちゃんの服とかインナーは普通の服と別に洗うぐらいの清潔感を持っているとのこと。元から北京市民じゃ無いと北京にマンション買えないといった規制ができたり、学歴を得るのに競争したりと、息つく間もなくて大変そう。

 

戦争広告代理店

bookclub.kodansha.co.jp

元はNHKのドキュメンタリーだったらしい。ユーゴスラビアの内戦でアメリカや国際世論を味方につけるためにPR会社が、どのように動いたかという本。PR会社が(独立を宣言して間もないとはいえ)一つの国の外務省広報を全部やるぐらいのことをやっていて、すごいというか恐ろしい。PR会社としては紛争状態である一方に肩入れするんだけれど、その国に対して義理みたいなものは全くなくて、お金の支払いが滞るとサッサと帰ってしまうのもすごかった。ユーゴスラビアの内戦に対しては、ほとんどのアメリカ国民や議員の関心が無いので、どうやって関心を寄せてもらうか(相手が非道で自分たちが一方的な被害に遭っているか)を継続して認識してもらう必要があり、報道機関や議員に働きかけをしたり、その準備を丁寧にやっていくところの描写が良かった。

 

マルクスが日本に生まれていたら

www.shunjusha.co.jp

元は1965年に書かれた本だけど冒頭に書かれてる、主義主張の対立が激しくなってこのままいくと破滅しかないのでは、といった感覚は今にも共通するところがあると思われる(当時の対立は当然、西側と東側なので内容が違いますが)。

 

情報士官の回想 : 第二次大戦における海軍の通信諜報

www.kosho.or.jp

古書市で買った本。あんまり大したことをしていなかったと思われがちな、日本の通信諜報について担当していた人の回想録。半分が当時の通信諜報の手法を概説した内容、もう半分が回想録という構成。暗号化されている単語と単語の接続を系統立てて整理することで、敵の規模や行動(上陸部隊を含む艦隊が出港したか)を割り出そうとする手法が書かれている。とはいえ絶対国防圏崩壊以後となると、敵の動向がわかっても味方の死期が確定するだけというむなしい状況になる。