いかたけの備忘録

忘れっぽい

読書感想文「戦争における「人殺し」の心理学」

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大雑把にまとめると下記の通り。

  1. 人間は人間を殺すことに嫌悪感・罪悪感を抱く。
  2. これを解消するためには、殺傷対象から距離をとることが必要となる。
  3. 距離とは物理的な距離もあるし、社会的な距離もある。
  4. 歩兵が行う、顔と顔の見える距離が物理的な距離が近い戦闘であり、爆撃・砲撃(艦砲によるものも含む)は物理的な距離が遠い戦闘である。
  5. 社会的な距離は、殺傷対象を「同じ人間」と思わないようにすることで、離すことができる。相手を侮蔑する語で呼ぶことなどがそれにあたる。
  6. 近距離での殺傷に対する嫌悪感・罪悪感から、発砲を控えたりする例が多く、WW2の頃までは2割ぐらいの兵士しか実際に発砲していない。
  7. 訓練を工夫することで近距離での殺傷が可能になる。標的をなるべく人間のようにし、命令があれば考える間もなく引き金を引けるように、訓練する。
  8. この、パブロフの犬の条件付けのように訓練するプログラムの効果により、ベトナム戦争では9割程度まで発砲率を上昇させることができた。
  9. しかし、これは同時に多く(100万人レベル)の復員兵がPTSDになる原因ともなった。
  10. また、復員兵に対するバッシング、国家によるサポートの薄さといった要因により、復員兵が社会から断絶され、PTSDから各種の依存症や家庭内不和、自殺などを発生させる要因となった。

ただ、6.の項目に対しては、本当に調査したの?という疑義が呈されています。

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500ページ以上の本なので、上記以外にも様々な検証が記載されています。

兵士の心理状態を読み解くために、様々な戦場で数多の兵士たちが書いた手記や、戦後のインタビューなどが引用されており、読むだけで中々厳しい気持ちになってしまう。読むスピードとしては1日50ページぐらいにしておくのが良さそう。

元になった本が20年から30年ぐらい前に書かれた内容なので、現在の心理学で捉え直したら、アップデートされるところがあるのかは気になるところです。