いかたけの備忘録

忘れっぽい

読書感想文「あなたを陰謀論者にする言葉」

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タイトルに「言葉」とあるように、様々なキーワードとオカルト・陰謀論の関わりを紐解いていく、という著作です。序盤はヒッピームーブメントに始まり、大体の起点になっている神智学あたりからを触れて、歴史を何度も往復しながら癒やし・スピリチュアル・新興宗教自己啓発(コーチングも含む)・ヨガ・瞑想(マインドフルネス)あたりとのつながりを解説していく、という内容です。

 

経緯や濃度に違いはあれど、普段から知っている物事が、以外とオカルト・陰謀論に繋がっている事を知ったり、また事例を学ぶことで新たな事例に対する嗅覚というか免疫のようなものができるようになるかも知れないです。

陰謀論に関係する本では個別事例を詳しく掘っていく本が多い印象で、この本のように歴史的経緯から解説する本は読んだことがなかったので、大変勉強になりました。

少し残念なことは、謎の伏せ字がチラホラ見受けられたところです。トム・クルーズが入信してるといわれる、サイエントロジーが「S」と記載されていたり、EM菌の関連で知られるバクチャーが「B」と記載されていたりしました。何かに対する配慮なのでしょうか。

 

取り上げられている事例は、カルト宗教、マルチ商法といった現実社会に存在しているけど、ちょっとしたきっかけでハマってしまう隘路のような事柄が多くありました。これは著者の取材対象がオカルトや陰謀論の他に、悪徳商法なども含んでいることによると思います。

一方でQアノンのように、表の社会に大いに関わってくる事例も増えており*1、そのあたりとの付き合い方というか、さばき方というかを、今後考えていかなければならないんだろうなと思います。

本書は歴史の裏面的にオカルト・陰謀論を解説していますが、ヒッピーがベトナム反戦や68年闘争に関連する運動であったことなども考えると、オカルト・陰謀論が歴史のオモテ面に与えた影響についても改札された本を読んでみたいですね。(書く人は大変そうですが…)

*1:本邦でいうと、参政党のような