いかたけの備忘録

忘れっぽい

ドナルド・トランプに関する本を読んだ(4冊)

読んだのはこの4冊

①トランプ在任中にラストベルト、バイブルベルトの人々に取材した本

②バイデン政権下でのトランプとバイデンの対比

オバマ政権時代にドナルド・トランプ本人が書いた本

④最近出た本。

旧来(70年代ぐらい?)は民主党:労働者・労働組合が支持母体、共和党:大企業が支持母体であった。→民主党がIT関連などの新興企業や金融業に支持母体をシフトしていく一方で共和党は南部の労働者層へと支持を広げようとした(ただ、読んでる感じだと労働者というより、古き良き宗教感情*1を鍵としている)流れがある。

レーガン政権のあたりで冷戦が終わった後は、民主・共和の両方で、グローバル資本に乗っていく流れが強くなり、アメリカの製造業に従事している人たちの受け皿となる政党がない状態となる(①か②に書いてあったのは、投票率が低下していたとのこと)。その中で自由貿易の推進、対テロ戦争の継続で、アメリカ全体は経済成長しても、今までの中間層は賃金が上がらず、格差がドンドン広がり、アル中・薬物中毒*2・自殺が増加…。といった状態が続く。

ちなみにオバマ政権期に発生したリーマンショックで金融業界がほぼお咎めなしだったのも「忘れられていた人々」にはだいぶ印象が悪く、そんなさなかにドナルド・トランプが登場して、「忘れられていた人々」の支持をガッツリ掴んで大統領になった。

で、④に書いてあるのは、共和党の政治思想としての基礎を固めていく人たちの中にも、トランプ当選前後から「対テロ戦争の頃までのネオ・コンサバティブの思想は敗北したと認めて、これからの保守主義を考えよう」という学者なども登場しており、ネオコンの代表的な雑誌が廃刊になっていたりという状況とのことでした。

複数読んで気づいた点の1つは②・④には、トランプは「レーガン主義からの反転」と書かれています。ここで、レーガン主義とは自由貿易重視・他国への介入をガンガンやるといった考えを指します。トランプは多国間貿易条約からの離脱や関税の多用、孤立主義や海外派兵への消極化なので、真逆のように見えるんですが、③でトランプ本人は尊敬すべき大統領としてレーガンを挙げているんですね。第三者から見ると逆のことをやっているように評価されるけど、本人は尊敬する相手になっている。

本として1番面白かったのは④です。なお、複数の媒体に寄稿した内容を1冊の本にまとめたので、内容に重複は多いので、読むのに緩急が必要です。

④の面白い点は、トランプに政治思想の背景はなさそう(少なくとも私はそう思ってました。)にみえて、(主流にはならなかったものの)それなりの背景や先達がいる。冷戦期の終わりに出てきたブキャナンという共和党の大統領候補とそのブレーンや、WWI後の国際連盟反対派、WWIの参戦反対派など、今まで知らなかった思想の流れがありました。

①の本で取材される「忘れられていた人々」なんですが、けっこう親切な良い人も多く、「こんな人たちを放置しておいて、トランプ支持になったら『知性がない』とか『かわいそう』といった評価をするのはどうなんだ…」と思いました。

③の本では「私は"YOU ARE FIRED!"が口癖みたいに思われてるけど、正直なところ人をクビにするのは好きではない。雇った人が成長して何かを成し遂げられた時の方が、とても嬉しい」と書いてあるのが良かったです。

本を読む順番としては①→②→③→④で読んでたんですが、②を読んでるあたりで暗殺未遂が発生してビックリしました。

なんとなくトランプ政権2になりそうな気もしますが、政権に向けて閣僚・官僚の候補を集めまくっているという内容も④にあり、どこまで有能な人が集まるかにもよるのかなと思いました。

*1:中絶に賛成か反対かなど

*2:要因が医者の過剰処方にあったりする等の記載も有