いかたけの備忘録

忘れっぽい

『大企業の誕生 アメリカ経営史』読書感想文

 

Twitterでフォローしてる人が読んでて面白そうだったので買った。

帯に「なぜ私企業が国家をしのぐ存在となりえたのか」という文言が書かれていたが、特に政府と対峙する内容が書かれているわけではなかった。政府と対峙するというのは法的規制とか、税とか、ロビーイングとか、そういうの。

アメリカにおける企業の規模の拡大と組織の変容、その要因について段階を踏んで解説してある。経営史というジャンルを始めて知ったし、初めて読んだ本だけれど、読みやすかった。

組織が大きくなって、現場監督みたいな人だけでは管理できなくなる最初のきっかけが鉄道網の拡大だった、という点が一番面白かった。当時の工場とかは確かに規模は大きくなっていたけれども、同じ建屋や敷地で頑張れば目の届く範囲だったけど、鉄道会社が真っ先に遠隔地を含めて管理する必要に迫られた。

その後は事業部制を取って、会社のHQが社内の将来を見据えた投資に専念できるようにしたりといった流れが続く。今では事業部制とかが当たり前になっているので、その生まれた経緯や目的を知ることができて良かった。もとの本が書かれたのが結構前なので、事業部制における欠点やその克服については書かれていない。事業部制の欠点はというのはよく知られているのは、近いの事業部と似た製品を作ってしまったりとか、そういうの。

最後30ページぐらいは翻訳した人の解説で、これは最近書かれた文章で、今日的に振り返った内容が書かれている。

組織の変遷とその理由については詳しく書かれている一方で、人物のストーリーはあまり出てこない。誰かがすごい天才的な発想をしていきなり進化するという話ではなく、必要に応じて組織を変えていって今に至った。その経緯を丹念に紐解いていくという感じ。